Seiwa University

大学紹介

自己点検・評価委員会 / 第2回報告書(2004年3月)

自己点検・評価報告書2004(抄)

清和大学 21世紀における真心教育

「自己点検・評価委員会」への期待

君津学園理事長 眞板益夫

私の生まれ育った房総の地に、年来の宿願であった清和大学を開設することが出来たのは、数多の関係者各位の御尽力によるものと、心から感謝申し上げたい。この感謝の念を少しでも形に表せるのは、育成するわが大学への絶えざる批判精神でなければならないと考えている。「これで良いのか、もっと良い方法はないのか」と自問することが、大学人としての責務と私は考えている。

かような大学自治の根幹を成す組織として、大学の「自己点検・評価委員会」が開学当初より設置され、不断の点検・評価活動を行っていることに、私は心強い信頼を置いている。

清和大学は開学してすでに11年を経て、7回ほど卒業生を世に送り出した。しかし社会情勢の変動は激しく、当初の大学設置構想と時代の要請、更には時代の求める教育像とのすれ違いをどのように調整し、君津学園本来の教育理念である「真心教育」の精神にそって、時代の求める「社会に役立つ人間育成」の実現を目指すか、課題とするところは、日々新たに逼ってくるのを実感する。

私は近い将来において、清和大学が「大学基準協会」の会員となり、大学の自己点検・評価を通して、我が国の学問水準の向上と教育界全般への寄与を可能にするものと、大いに期待している。その核心を為す本委員会の活動への期待は、まことに多大なものがある。関係各位の期待に充分こたえるべく、更なる点検・評価活動を切望するものである。

はじめに

平成12年(2000年)1月に「清和大学 新しいアカデミーへの挑戦 -自己点検・評価報告書1999-」を公表して以来、すでに5年が経過した。思えばこの間、清和大学はそのおかれている環境の激変に直面し、数多の改革努力をなしてきた。そのプロセスにおいて、従来の大学の教授会を中心としたあり方とは異なる改革の動きに、違和感を覚えた教授会構成員もいたことであろう。しかし、もはやおそらく時代は既に、かつてのよき日に戻ることを許さない。もし仮にそのような懐古に浸りたいのであれば、圧倒的ないわゆる勝ち組として生き残る以外にない。

この報告書はかような改革期における新しい大学の可能性と、その現実化への努力に対し、いささかなりとも貢献しうるようにと、自己点検・評価委員会として可能な限りの情報をもとに、大学のさらなる明るい発展を期待してまとめたものである。

限られた時間と人間による仕事であるから、不備もあろうかと思われる。報告書へのさまざまなご批判も予想されるが、明日への一石としてお許し頂きたいと思う。念のために付言すれば、この報告書中に記された指摘・意見・提案等は、必ずしも委員会全体の総意として一致したものではなく、各位のご意見を頂ながら、最終的には次回の報告書において何がしかの評価を下されるものと考えている。

かような事情にご理解を賜り、本書への忌憚ないご講評をいただけますよう切望する次第である。

2005年3月
清和大学自己点検・評価並びに振興委員会

第1章 総論

1 清和大学をめぐる環境の変化

平成12年(2000年)1月に「清和大学 新しいアカデミーへの挑戦 -自己点検・評価報告書1999-」を公表して以降、清和大学をめぐる環境変化には著しいものがある。

その第一には、18才人口の減少が恒常的になり、わが国の大学という大学、学部という学部が存続の危機意識を持って学生確保に奔走せざるを得ない状況に立ち至ったことがある。平成16年4月からは、旧国公立大学が独立行政法人化され、このような競争に一層の拍車を掛ける事となった。

第二に、平成10年度に新学習指導要領が改訂され、いわゆるゆとり教育が導入されたが、評価に異論があるかもしれないが、一般的には学生の学力低下を指摘する教員が少なくなく、大学における授業として成立しているのかをいぶかる声さえ聞かれることがある。

第三には、長引く不況の影響からか、学業中途で学費の支払いが困難となり、退学ないし学費未納による除籍となる学生数が目立ってきていることがある。この点については、上記指摘の学力低下による成績不振とも相俟って、また、いわゆるフリーターやニートであることに対して若年層の抵抗感が薄いという社会的傾向も関連が深いと思われる。

第四に、国レベルでの法制度改革の一環として、従来の司法試験制度から、いわゆるロースクールへの制度転換が実施されることとなったことである。全国の大学法学部は先を争って大学院をロースクール化し、また、学部をロースクールの下層に位置付けて、法学部の再編成を行なってきた。これに対して、法学部の意義は、必ずしも法曹養成だけに限られるものではないことから、本学では多様な法学コースを用意して、学生や社会の期待に応える方針を貫いてきている。

第五に、近年の日本、ないし世界の産業構造の中で、特筆すべきは、いわゆるIT分野の成長と浸透とがあり、大学在学中の学習・研究のみならず、卒業後の就職先においても分野・業種を問わず、一定のIT関連スキルが必須となっていることは否定できず、その教育の一端が大学にも期待されていることがある。

2 平成12年から16年までの主要な大学体制の変更

平成12年(2000年)1月に「清和大学 新しいアカデミーへの挑戦 -自己点検・評価報告書1999-」を公表して以降の大学体制には変更が施された部分があり、順次それを概観する。

平成12年(2000年)4月、従来のPC教室がスタンドアローンのPCで教育していたのに対して、インターネット常時接続環境が導入された。

平成13年(2001年)4月、清和大学学長が交代し、第二代学長を、真板益夫君津学園理事長が兼任することとなった。理由は、大学の学生確保により積極的にアプローチするためであり、同時に従来の委員会を凍結して、大学改革委員会を時限的に発足した。当面、教学委員会(従来の教務委員会と入試委員会を併合)、学生委員会、および図書館委員会のみが日常的な学務活動の必要から活動することとした。

  • 平成13年6月からは、平成14年度入試としてAO入試を開始した。
  • 平成14年(2002年)4月、カリキュラム変更。
  • 平成15年(2003年)、平成16年度入試からスポーツ推薦を導入。
  • 平成15年4月、大学組織に学長室を新設。目的は、大学にかかわる重要事項につき迅速機敏な対応を可能にするため。
  • 平成16年(2004年)、平成17年度から、法学部法律学科に、法学コース、スポーツ法コース、およびITビジネス法コースの3コース制を導入予定。
3 改革委員会の成果と学生確保のための努力

上記の大学体制の変更は主として、学生確保のための施策ということができるが、今日、学生の多様なニーズに応える為には、よりきめ細やかなサービス面の充実等が必要であり、また、学生確保に腐心する各大学も一般的にそのような傾向にある。

平成12年(2000年)1月に「清和大学 新しいアカデミーへの挑戦 -自己点検・評価報告書1999-」においては、学生アンケートの結果を掲載している(同書65頁)が、それによれば、自由回答で大学への要望項目として挙げられた指摘項目のうち1%を超えるものは、次の17項目あり、それぞれに改善内容を記すと次のとおり。

1 購買・生協の設置 未着手
2 食堂メニュー改善 平成17年4月改善計画準備中
3 食堂価格改善 平成17年4月改善計画準備中
4 学バス本数の増便 検討中
5 タバコ自販機設置 不可(平成16年度よりキャンパス内全面禁煙(健康増進法に沿った措置))
6 グランド設置 平成16年ソフトボール場新設
7 スポーツ施設 平成16年4月真武殿(武道場)新設
8 駐車場増加 平成16年9月駐車場191台増加
9 蔵書数増加 図書館では毎年購入中
10 インターネット導入 平成12年4月導入
11 学部増 検討中
12 多目的ホール設置 平成12年9月真板幸男記念館(学生ホール)新設
13 川崎発学バスの運行 検討中
14 書店設置 不可(但し教科書に関してはセメスター初めに書店の出張販売)
15 部室増 平成12年9月真板幸男記念館内に部室増設
16 大学PR方法改善 検討中
17 大学院設置 不可

このように見てくると、①⑭の購買部関係、および④⑬の学バス関係を除き、この間、施設面での学生の希望にかなりの努力を払ってきたと評価できよう。

第2章 大学の理念

1 真心教育

清和大学は、学校法人君津学園に属し、同学園は、このほか清和大学短期大学部、同附属高等学校、同附属幼稚園3園、木更津中央高等学校、市原中央高等学校の7校計8校を有し、その歴史は、昭和26年の木更津高等家政女学校の創設、次いで昭和38年の木更津中央高等学校の創設以来ほぼ50年に及んでいる。その間、「真心教育」を建学の精神とし、人間形成を重視する一貫した教育理念に基づき、多くの人材を育成し、戦後日本の教育界において、地味ではあるが堅実な貢献をしてきた。

本学の教育目標は、次の通りである。

清和大学は、教育基本法並びに学校教育法の定めるところに従い、君津学園の一貫した教育体系の最高教育機関として、学園の教育理念とする「真心教育」に基づき徳性を陶冶しつつ、高度の教養を授けるとともに、専門の学芸を教授研究し、個性の尊重と社会的協同を旨とし、国内的、国際的視野に立って、地域社会の文化的、社会的発展に寄与する先見性と実践性に富む人材を養成することを目的とする。

急激に変化する現代日本の社会状況に主体的に対応して、方途を誤らない人材を育成することは、国家社会にとって焦眉の急であり、これにこたえて、清和大学は、人間性豊かな法学研究者と実践的専門家の育成を目指している。これによって、進展の著しい千葉県南部地域における大学進学へのニーズに応えるとともに、国、地方公共団体、企業等に優れた人材を送り、その発展に寄与し、さらに開かれた大学として、地域社会の人々に身近な生涯学習の機会を提供することとしている。

このような人材の育成の根本は、何よりも豊かな人間性の涵養、道義を尊重する良識ある人間づくりであり、そのために真心(まごころ)教育が中心に据えられたのである。真心とは、真実と愛の心であり、教育の神髄は「心の通い合い」にある。「己の真心をもって相手の真心をつき動かすこと」が教育の原点でなければならず、教育に携わる者は、「愛情と情熱」をもって学生、生徒、幼児に立ち向かわなければならない。法学を学んだ学生も、これを社会に生かす際には、何よりも人間の心の理解、特に相手を思いやる心で人に接することが肝要である。わが国の教育について、知、徳、体の総合的な教育がいわれるが、本学における真心教育は、まず人柄--徳、次に体力--体、第三に知育--知でなければならない。結局、真心教育の目指すところは、第一に「大いなる真実の自己に生きて、社会の良心たる人間になれ」、第二に「困難にくじけない逞しい人間になれ」、第三に「広く深く智慧と知識とを体現せよ」の三点に尽きるであろう。これによって、聡明、闊達かつ勤勉な人柄を形成し、人々の信頼を得る人間になることを目指すのが本学教育の基本である。

2 現代社会に対応する新しい法学教育

本学の発足に当たっては、まず、現代社会に対応する新しい法学教育の必要性が強調された。この視点は現在も変わっていない。すなわち、現代社会は、法によってその組織・運営が決定されるものであって、法を離れてその存在はない。そこに、現代化された新しい法学教育の課程を構成する必要性がある。そして、現代社会は、伝統文化を保持するとともに、国際化や情報化によって特色づけられる。これに対応する教育が新しい構想によって求められる。これを実現するために、英、独、仏、中の各外国語および言語圏文化論や必修とされるPC-Ⅰ、また、専門教育科目の中に、国際関係入門、情報法入門、英、独、仏、中の外国法入門が伝統的な憲法、民法、刑法以下の諸科目と共に設定されてきている。

しかし、司法試験制度が法制度改革の一環として、ロースクール制度に転換されたが、法曹養成だけが法学部の役割でなく、全国的に見れば、圧倒的多くの法学部卒業者は民間企業を担う人材として重用されている。従って、純粋に学問的な教育内容を提供すると同時にまた、実学的要素を重視した教育を施す必要があり、他方、本学入学者の非常に多くが地方公務員志望であるという点に鑑みれば、難関である公務員試験対策、またはそれに加えて各種資格対策に関するニーズは大きいというべきである。

さらに、単に学力だけが秀でた学生が求められるものでもないのであって、社会に優れた人材を送るために実学教育、豊かな人間性育成の見地をもこれに合わせた少人数教育(1年次生に対する1クラス15人程度のプレゼミⅠ・Ⅱ、3~4年次生に対する1クラス数人から十数人程度の研究会--いわゆるゼミナール)などが行われているが一層緊密な教員学生間の関係が求められよう。

3 社会に開かれた大学

本学は、千葉県南部における一般大学としては唯一のものであり、南部県民の本学に対する期待は大きい。そのために、後述のように、地元である千葉県や木更津市、君津市、富津市及び袖ヶ浦市から手厚い援助を受けてきた。この期待にこたえるために本学では、四市役所職員の委託生を受け入れており、木更津市と共同して公開講座を開催し好評を得ており、さらにこれらの地元その他に講師を派遣して市の職員研修等に協力している。秋に開かれる学園祭にも地元の人々の参加が多い。これにとどまらず、今後とも地域のために門戸を開放し、社会に開かれた大学としての責務を果たすこととしている。

第3章 教育内容

(一)本学教育の特色
1 基礎法学教育の充実

法学研究の対象とする法は、現代社会においては多種多様なものとなっているが、教育の対象となっている法は主要なものとならざるをえない。このため法を自ら学修する必要性や方法をまず理解させることが必要となる。また、実定法を教育する過程においても、法の定義、法の目的、法学の学修方法などを教育することにより、多様な法に自ら対応する能力が育成されるものと考えている。

2 多様化する法教育ニーズへの対応

現代国家においては、法のはたす役割は大きく変化している。国家対個人の関係における法ではなく、個人間の関係においても法は公的な関わりにおいて大きな作用を行っている。また地方公共団体の活動も行政に対する住民のニーズの高まりに対応する中で重要性を増している。これらの観点から見れば法学教育の内容も大きく変化せざるを得ない。これからの法学部教育では国家公務員や法曹関係者を目指す教育とともに、地方公共団体や公的企業体(公営企業、第3セクターなど)並びに一般企業において法規範に関わる者を目指す教育が重視されなければならない。

3 国際化への対応

国際化に対応する法学教育は、従来の国際公法・私法の教育だけでは不十分である。それらに加えて、国際関係論、外交史、地域研究概論、宗教と社会(総合科目)などの科目を学習することによって、各国家・地域の状況を把握・理解することが可能となる。加えて、各地域の法を学ぶことにより真の国際化に対応する教育が可能であると信ずる

4 情報科学と法学教育の結合

現代社会ではその多様化により、法令は著しく増大している。判例の数も膨大なものとなっている。また学説も数限りない。これらの法令・判例・学説の検索については、情報検索システムの基礎的知識の習得が不可欠のものといえよう。また、法的な問題解決のための論理操作については、法律エキスパートシステムによるトレーニングが必要と思われる。情報科学の修得はこれからの法学教育において不可欠のものと考えられる。

5 個別指導を通じての人間形成

従来の社会科学系の大学教育は、いわゆるマスプロ教育に流れる傾向にあった。本学は入学定員の少ないことと、豊富な選択科目を設定したことによる「小人数教育」に加え、基礎演習、卒業論文指導、外書講読演習など少数定員の科目を各学年に配当し、教員と学生とのつながりを重視した人間教育を実施して来ている。

6 法学教育に基づく社会観の育成

大学教育の終局的な目標は、その専攻した教育に基づく社会観の確立にあると言えよう。
法学部の教育においては、国家社会における法体系の中で、法を中心とした価値判断をなし得る能力の育成が要請される。そのためには実定法科目のほかに、法哲学、法社会学、法史学、法思想史などの科目の学習を重視する必要がある。

(二)教育課程の特色と評価と課題
1 教育課程の現状(平成14年度カリキュラム変更(Cカリキュラム))

従来の教育内容・方法の基本的視点を踏襲して、平成14年から新カリキュラムを導入した。現在の教育科目と単位数は、平成16年度において以下の表のとおりとなっている。

カリキュラム変更点とその理由は、次のとおり。

  1. 要卒単位数を138単位から128単位とした。
    (理由)学生の単位取得状況から判断して、学力にふさわしい授業数は、セメスターに対して8科目(16単位)×8セメスター=128であると考えた。
  2. 完全セメスター制かつ全科目を2単位とした。
    (理由)従来セメスター制を標榜しながら、通年で4単位の科目があり不徹底であったが、これを完全にセメスターで完結することとした。これには、成績不振学生が、翌年を待たず、半期で同じ科目を再履修できるように配慮した結果でもある。この結果、秋卒業がしやすくなり、秋からの留学による場合でも年次の無駄が出ないという副次的効果がある。
  3. 従来、専門教育科目を細かい分野に分けて分野ごとに取得最低単位を設けていたものを廃止した。
     (理由)本学は非常に広範な法学専門科目を開講しているが、学生のニーズは多様であり、必ずしも満遍なく卒業要件として学習させるまでも無いとの判断。もちろん、選択科目として希望者は従来どおり履修可能である。
  4. PC-Ⅰを全学生受講可能なクラス数設置した。
     (理由)時代の要請として、最低のコンピュータ・リテラシー教育の必要性から。また、法律学の資料の収集や、レポートその他にPCを利用する便宜と必要性があるとの判断。
  5. 基礎演習Ⅰ(1年次必修4単位)をプレゼミⅠ・Ⅱ(それぞれ必修2単位)とした。
     (理由)従来の基礎演習Ⅰは、1年生に1年間固定的に専任教員を担当させていたが、教員の裁量により教育内容に大きなばらつきがあり、また教員学生間の相性の問題も無視できないところから、最小のセメスター単位の所属として、またプレゼミⅠに関しては、全クラスに共通のチェックシートを配布して内容の共通化を試みており、プレゼミⅡに関しては、募集・選抜によるクラス編成として、学生に選択の幅を与えた。
  6. 研究会必修8単位を6単位(同一専任教員4単位を含む)とした。
     (理由)事実上、4年時勢の就職活動その他での履修の難しさに配慮すると同時に、全科目2単位化を考慮して単位数は減じたが、同一専任教員の指導を1年間相当受けることを条件とした。希望者は従来どおり6単位を超えて履修できる。
  7. 4年次配当科目を3年次履修に引き下げた。
     (理由) 事実上、4年時勢の就職活動その他での履修の難しさに配慮した。
2 3コース制の導入(平成17年度カリキュラム変更(Dカリキュラム))

社会のニーズに応え、魅力ある教育内容を提供するために、平成17年4月から、法学部法律学科に、法学コース、スポーツ法コース、及びITビジネス法コースの3コース制を導入することとした。

法学コースは、従来の法律学科の踏襲であるが、スポーツ法コースは、平成16年から受け入れているスポーツ推薦学生を念頭に置いたカリキュラムとなっており、ITビジネスコースに関しては、法学部の枠を超えて、時代の要請であるIT技術者の基本的技術・知識を備えた法学士の育成を目指すものであり、カリキュラムを一見すれば理解されるように、理工系科目を大幅に取り入れた教育内容で、単に情報リテラシーにとどまらず、サーバー管理やネットワーク・セキュリティの修得を目指すものである。

その他、全コース共通の修正内容として、従来の憲法、民法、および刑法の主要3科目必修を修正して、学生の基礎学力低下に対応するため、憲法、民法、商法、刑法、行政法および法学入門を必修科目と設定し、初年度に広く浅い学習の機会を設けた。平成17年度からのカリキュラムは次のとおりとなっている。(こちらを参照してください

3 昼夜開講制

開学当初、社会人教育を視野に入れて、門戸を大きく広げる目的で考えられた昼夜開講制であるが、現状純粋に社会人で、夜間授業しか履修できない学生というのは極めて少数である。実際、アルバイト等の事情で昼夜開講のメリットをうまく活用している学生もいることはいる。また、本学が昼夜開講とセメスター制を併用していることから、再履修の学生には重複を避けてのやり直しが比較的やりやすいという便宜があることは確かである。

しかしながら、昼夜開講を維持していくことはコスト的に問題がある。特に、いわゆる主要科目で昼夜の両方に科目を担当する教員の持ちコマ数がしばらく前から超過傾向にある。

昼間の集中している時間を調整して、なるべく均等に配置することが受講学生の便宜にも適うのではないだろうか。

4 セメスター制

セメスター制を標榜しながら通年科目との混在で、趣旨が徹底しない大学が多いと聞くが、本学では現在完全セメスター制を実現している。この点に関しては、教員の理解と協力の賜物といってよく、特に通年4単位科目の担当者からの反対意見には根強いものがあった。実際、法学教育の特質上、じっくりと通年で単位認定すべきであるという意見には聞くべきものがあると思われる。また、研究会科目では、担当者が履修条件を付することを認めているが、通年で、または2ヵ年続けて履修すべしという条件が少なくない。

教育効果についての実地的検証はなかなか難しいものがあるが、成績不振学生に再度のやり直しの機会を早期に与え、また、学生の進路変更や問題関心の変化に早期に対応できるメリットを重視してセメスター制を採用している点に鑑みて、完全セメスター制を当面維持することを支持する。

5 カリキュラム検討

開学以来12年ほどの間に、平成17年度新カリキュラムを含めて、3度のカリキュラム変更を行なってきたことになる。カリキュラムは時代に合わせ、恒常的にあるいは定期的に検討されることが望ましい。

変更点の特徴のひとつは、開学当初のかなり厳しい拘束のあるカリキュラムから、緩やかなものへの移行であるが、学生の学力不足への対応であることは否定できない。この緩和に関しては、学内にも異論があり、そのひとつは、科目の学習順を重視する考えであり、基礎からより高度なものへの順でカリキュラムを組むべきというものである。学習順の問題でなく、かつての学生に対するのとは別の指導方法を修得なり、工夫なりしていく現場の対応力に期待せざるを得ないのではないかと思われる。

もうひとつの異論は、多様な科目を満遍なく学習させるべきだというものである。もちろんそれに越したことは無いが、最近の学生のニーズの多様性を考慮するとき、必ずしもかなり厳しい拘束をかける程の必要は無いのではないか。そこで、平成17年度からのカリキュラムでは、1年次に満遍なく基本科目の概論を必修にして、学年進行に従い必要な科目を選択していく制度を想定しているので、場合によっては必要に応じて多様な分野を履修できるようにしてある。実施結果によってはまた改善の検討が必要となるかもしれないが、結果に期待するところである。

6 外国語教育

本学では開学以来、外国語は一ヶ国語必修とされてきた。多くの学生が英語を履修している。

外国語教育は、単にその外国語を用いての情報のやり取りでなく、ある意味では概念の確定とロジックの構成という意味において法学の学習に非常に似た面を持っている。

放送・通信技術の発達により、外国語を伴う番組の数が非常に増加しているし、また今日のIT社会ではインターネットを通じての情報収集においては、英語が圧倒的な割合を占めているという背景もある。

本学における外国語教育の問題点としては、科目間の受講者数に非常にばらつきがあること、同一授業の受講者の語学レベルが多様で指導が困難であること、国際化の意味が多様化している中で、従来開講科目以外の外国語(たとえば韓国語、スペイン語等)の開講を検討することも意味のあることであろう。

国際交流センターその他の短期留学または合宿の試みがなされているが、一定の成果を挙げていると報告されており、これらを単位認定することで通常授業を振り替える方法が検討されている。また、LL教室にかえて、平成17年4月からPCによる外国語のe-learningが導入される予定であるので、授業のみならず、自主学習でも積極的に利用され、成果の上がることを期待したい。

第4章 教育研究組織

1 総論

教育研究上の基本組織としては、学部制のほか、教育と研究とを機能的に分離する観点からの学群・学系制がみられるが、本学においては、従来からの大学の基本組織としての学部制を採用して法学部を設け、特定の学問領域において教育活動と研究活動を一体的に行うこととした。教育研究活動を一体的に行うことによって教育と研究が相互に影響を及ぼし合いながらそれぞれの発展を期することができるが、その運営によっては、一般に指摘されているように、研究活動に重点が置かれて教育面への配慮が欠けたり、逆に学生に対する教育に忙殺される余りに研究活動が阻害されるおそれがないように努力する必要がある。特に本学の場合には、昼夜開講制を採用し、同一の講義を昼夜2回にわたって行う科目が多いところから、この点に対する配慮が一段と要請される。

2 人事構成の適正化

開学から12年が経ち、当初高齢の教員で定年を迎えたり、他大学へ異動した教員は相当数に上る。この不足分を最近は若手専任教員を中心に補充しているところである。他方、専任教員の年齢構成、教授、助教授、および講師の割合についても適正なバランスに対する考慮が必要となろう。

3 法学会および法学研究所

本学には、その他研究のための組織として法学会および法学研究所が設けられている。

法学会は、年2号の清和法学研究および年1号の清和大学研究論集を発行するなど、専任教員の研究発表の機会を提供している。

法学研究所は、社会に生じる様々な法律問題について、外国との関係あるいは地域社会の要請に応じて特定の研究を行うことを主な目的とするが、他方、地域の必要や要望にもとづいた市民公開講座の開催、公務員講座をはじめ各種資格試験受験を志望する学生に対して、専任教員の指導による、学部教育の補完の役割を果たしている。

また、毎年、専任教員の構成する共同研究会に対する、共同研究費が設けられている。これに対する出願総額は共同研究費の全額を毎年大きく越えるものとなっているが、継続研究等のやや惰性的な運用になっている可能性があり、重点配分と成果の審査等の制度を導入して、活発な教員間における研究活動を支援かつ点検する必要がある。

第5章 学生生活

1 入学時オリエンテーション

本学では、新入生が大学生活を円滑に始められるように、学生生活、科目登録等教務事項その他に関するオリエンテーションおよびガイダンスの機会を年度始めに5日間ほど設けているが、それに加えて、平成10年度以来、平成16年度まで、学外施設での1泊2日のオリエンテーションキャンプを実施した。経費は大学および学友会予算より支出され、基本的には新入生全員、プレゼミⅠ担当教員、学生委員会委員、学生課職員、学友会役員、有志学生リーダーが参加した。内容は、理事長、学部長および教員による講話、鴨川シーワールド見学等であったが、概ね好評な学生の意見が寄せられているものの、移動にかかる時間や効率を検討すると、学内でのオリエンテーションが便宜であって、平成17年度には学内で開催される見通しである。

2 奨学金

日本育英会奨学生のほか、本学独自の奨学金制度として特待生及び貸与奨学生制度がある。特待生については、1種特待生は授業料相当額を4年間継続して、2種特待生は各学年(1名)1年間の授業料相当額を、いずれも学業成績・人物ともに優れた学生に給付する制度である。貸与奨学生は、人物・学業ともに優れ、経済的理由により修学困難な学生に対して、自宅通学者は月額49,000円、自宅外通学者は月額59,000円を、無利子で貸与する制度で、日本育英会奨学生旧第2種の学力基準や家計基準に準じて選考される。

このうち特に1種特待生に関しては、極端な便宜を図るものであるから、むしろ各年次の成績を基準として、複数人に段階的な特待生奨学金を検討する余地があるものと思われる。

3 通学と下宿、食堂

本学には、比較的遠方からの通学生も多く、また昼夜開講制のため、帰宅の交通の便宜が必要な状況にある。これに対して、スクールバスが各授業時間に合わせて、JR木更津駅との間に運行されている。また、平成16年9月191台の駐車場が完成し、車両通学を希望する学生には、学内の駐車場の利用許可を与える便宜を図っている。

自宅が遠方の学生に対しては、学生課により安心できるアパートの紹介を行っている。

本学の立地条件から、大学周辺に飲食店がない状況に対して、324席を有する学生食堂が用意されており、缶飲料等の自動販売機も設置されている。メニュー内容や価格に関してこれまで検討を要するとの意見が寄せられてきたが、平成17年4月に食堂の運営を一新する計画である。食事をしない場合にも、学生の憩いの場として終日利用されている。

4 学友会

学友会は、本学の教育目的を旨とし、学生相互の友愛を深め学問の自由な発展及び学生生活の向上を図ることを目的として、平成9年度に設置された。主な事業は、部及び同好会の活動を育成発展させること、大学祭を行うこと、その他、本会の目的達成のために必要な諸事業である。今後一層の学生の自主的な参加・運営が望まれる。

何人かの卒業生から、大学ホームページを充実して欲しいというような話を聞くことがある。現状のホームページ管理は、入試情報を主目的とするものであって、大学広報誌の性格を持たせる場合には、しかるべき編集委員会が設けられるべきであろうが、今後、極力ホームページの充実に注力していく方針である。

5 運動部、文化部、サークル、同好会

学生数に比較して、かなり多くの学生団体が活動している。公認団体は「部」と「同好会」に分かれるが、いずれも教職員を顧問とする構成員が10名以上の団体である。学友会に所属して「部」として公式に対外活動をしている団体には、硬式野球部、ソフトボール部、剣道部、柔道部(以上4部は平成16年度から強化部)、バレーボール部、サッカー部、男子バスケットボール部、卓球部、陸上競技部、スキー部、演劇部(演劇集団フリッパー)、法学研究会がある。また、「同好会」には、学生各自の個性と条件に適した様々な活動に参加できる各種団体がある。

6 学園祭

第1期生の積極的な働きかけにより、開学初年度に催されて以来、例年11月の土日に開催されている。平成10年度からは清和女子短期大学(現清和大学短期大学部)、同附属高等学校、および木更津中央高校(現木更津総合高校)と同日開催となった。学生の積極的な関わり、企画力が求められると同時に、地域住民との交流の場として一層の役割が期待される。

7 保健

学年はじめの定期健康診断を実施しているほか、医務室には看護婦1名が配置され、学生教職員の心身の健康の保持・増進、および緊急時の処置に備えている。

8 卒業と進路等--清和大学就職部の活動

本学入学者の卒業後の進路希望は、圧倒的に公務員、特に警察官、消防官、及び自衛官のいわゆる公安系が非常に多い。本学では、これらの希望者に対応すべく、平成14年4月から、公務員講座を新規開設した。公務員試験受験のための専門学校から講師の派遣を受けて、教養科目のうち、特に知能科目といわれる内容について、1年次生から受講することを念頭に、基礎科目のセミナーⅠとして通常の単位を与える方法を採った。従って、通常授業の一部であり追加的費用徴収はない。

公務員試験対策のうち、法律専門科目は学内の教員が授業において指導可能であると当初は考えていた。しかし、実際の試験対策となるとそれでは不十分であるということで、平成17年4月からは、公務員試験およびその他資格対策講座を一括して、本学法学研究所内に資格対策センターを新設して移管し、それぞれの講座の事情に応じて同センターにおいて単位を付与したものについては、学部の単位として認定を行なう制度を採用する予定である。学内組織の講座ということで、これに関しても追加費用徴収はない。同センターの多様な講座を積極的に活用してそれぞれの試験に成果を挙げることを期待したい。

平成15年度からは、インターンシップ制度が開始された。一般的には今日、四年制大学の新卒就職者の3ヶ月、または半年定着率の低いことが指摘されているが、就職前に現場に関するイメージを十分に抱けていない場合も多いと思われる。本学のインターンシップの場合、地元の役所や企業の協力をえて、現場での職業体験を行なうことが、学生の就職に関する意識に非常に良い影響を与えているようである。ちなみに平成16年度の参加学生数は31名であり、大学規模に比較して他大学に比べて非常に多数であるといえる。インターンシップについても、就職関係講座としては異例であるがセミナーⅠとして通常科目として実施しており、インターンシップ先の手配や前後のケアにかなりの手間が掛かっていることを指摘しておく。

本学就職部は、開学以来12年、第一期卒業生を出してからまだ8年という状況下で、引き続き就職先の開拓拡大を図る努力を続けており、学生の就職指導に関しては、進路指導室を介して、進路・求職登録者ひとりひとりについて、細やかな指導を行なってきた。

毎年通常3年次5月に就職ガイダンスを実施し、就職戦線の展望と企業側の採用事情、自己分析というテーマをもとに全体指導を行った。6月には就職希望のすべての学生に対し、1人40分間の個人面接を1か月半かけて行った。ここでは自己分析や就職活動の方針、企業側の採用情勢について説明した。さらに後期にはガイダンスを重ね、就職への考え方というものを徹底指導し、また企業訪問の合間の中でオリジナルの『就職の手引き』も作成し、学生に配付した。年明けの2月には学内における業界別就職セミナーを実施した。金融、旅行、流通、警備、不動産という業界の中から有力企業を招き、大学内で個別に就職説明会を実施した。この時は必ずリクルートスーツ着用で、襟を正して出席するルールを徹底した。本番に備え、緊張感と、さあこれから始まるのだ、という目的意識を植え付けるのが狙いである。

ちなみに、平成17年3月時点で第8期生の進路状況は以下のとおりである。進路・求職登録者75名中、民間希望者51名、うち内定者47名(92%)、公務員試験希望者13名、うち最終合格者3名(23%)、専門学校等進学2名、その他進路希望2名、成績不振/学業専念5名、及び不明者2名である。パーセンテージ的には、他大学の内定率に比べて非常に高率であることの理由の幾ばくかは就職部の努力に帰されるものと自負している。

第6章 開かれた大学の門--多様な大学入試

大学がアカデミーとしての本質を持続しつつも、一般社会との接点を次第に増してゆく傾向はますます強まり、かつてのような象牙の塔を誇る時代ではなくなった。大学の門戸開放はまさに時代の大きな流れとなっている。高校からの大学志願者も年毎に増すとともに、また大学に求める要求も多様化している。一方また青年のみを対象とした大学の講座も、社会の変容に対応するため、一般社会人の参加を可能にし、実社会での経験をベースに再度学習・研究を深めたいとの要望も強まっている。さらにまた、安定した成熟社会における多様な課題を解決する一端としても、生涯学習への一般市民の希望も強まり、社会人枠による入学制度に関心が高まってきている。

清和大学ではこのような若い学生、一般社会人の入学のチャンスを、多様な要望に沿って満たすため、次のような入学試験を行い、勉学の意志のある者に門戸を大きく開いて、その要望にこたえようとしている。現在行なわれている入学試験区分は、以下のとおり。

  1. AO入試Ⅰ~Ⅴ期
  2. 併設校(木更津総合高校・市原中央高校)推薦入学試験
  3. 指定校推薦入学試験
  4. 公募制推薦入学試験
  5. 一般選抜入学試験(大学入学資格を有する者)
  6. 大学入試センター試験利用入学試験
  7. 社会人特別選抜入学試験
  8. 外国人留学生特別選抜入学試験
  9. 短大等からの編入学試験
  10. 科目等履修生、聴講生に対する講座の開放

平成17年度以降は3コースに分かれての募集になり、煩雑なので、下記ホームページで随時、次年度入試に関する募集定員、時期、試験会場、試験科目等の詳細をご覧下さい。

1 AO入試Ⅰ~Ⅴ期

平成15年度入試として、平成14年6月から導入した。導入の経緯に関しては、法律学の学習に意欲ある学生や何かアピールできるものを持った学生をより早い段階で確保したいという要請に基づくものである。必ずしも成績基準によらず、エントリーシートと面接のみにより選抜するものである。

平成16年度入試からは、スポーツ推薦学生が大量にAO入試により入学することとなった。一般的に面接の印象は優れており、また、公務員志望であることを明言する学生がかなりの数に上る。

AO入試Ⅴ期は、予めの期日を定めず受験者と大学側の協議で個別に面接日を設定する方法を採っているが、年度末を控えた受験生に速やかな合格通知を出したいという配慮からである。

2 併設校(木更津総合高校・市原中央高校)推薦入学試験

平成12年度入試から導入された入学試験である。現在のところ、最もまとまった数の学生が受験する入学試験となっており、併設校という性質上、併願を認めないので、入学者数も最も多い試験区分となっている。

併設校の進路指導の先生方には、清和大学を勧めていただく件に関して、大変なお骨折りを頂いている。大学に対して様々なご要望も頂いており、これらを大学運営に反映させていく努力が望まれる。他方、併設校ということもあり、大学教員が高校に出向いて、本学の授業内容の紹介を行なう等の活動をもっと柔軟に行なう余地もあるように思われるので、担当各位にはご意見・ご考慮をお願いしたい。

3 指定校推薦入学試験

今般、18才人口減少の影響で、大学間競争の激しい入学試験において、本学が最も苦戦している試験区分である。本学も平成17年度より3コース制を導入するなどの新機軸を打ち出しているが、現場の先生方や、まして受験生には浸透していないと思われる。この点、パンフレットや受験雑誌等の広報活動、高校訪問等を通じて一層のご理解を頂く工夫が不足していることは否定できないと思われるので、入試広報活動の再検討が必要である。

4 公募制推薦入学試験

従来から絶対数としては受験生が少ない試験区分であるが、AO入試導入後は一層減少した印象がある。評定平均値3.2を基準とし、試験科目は小論文と面接。

5 一般選抜入学試験(大学入学資格を有する者)

本学を中心に大学進学を考えている受験生にとっては、本学の多様な入試区分を理解して、一般選抜入試に先立ち、AO入試、併設校推薦入試、指定校推薦入試、および公募制推薦入試を利用する方が有利である。

一般選抜入学試験は、本学ではⅠ期およびⅡ期が実施されるので、他大学との併願を考える受験生には機会を与えることとなる。

試験科目として「英語Ⅰ・Ⅱ」「国語Ⅰ・Ⅱ」および「小論文」から一科目選択(当日問題配付後)となっている(平成17年度入試からITビジネス法コースに関しては、「英語Ⅰ・Ⅱ」必修)。

6 大学入試センター試験利用入学試

本学の校舎を、センター試験の会場として使用してもらっている。センター試験のみでの受験、またはセンター試験+小論文、のいずれかを受験生本人が選択受験の上、選抜されるこの制度には、更に多くの受験生が関心を持ってもらいたいと考えている。センター入試を利用する私立大学が非常に多くなっていることからも、優秀な受験生の応募に期待したい。

7 社会人特別選抜入学試験

開かれた大学の精神に基づき、一定の人数枠を用意し、実務についている社会人に大学での研究を深める機会を提供している。最近では若干応募が少なくなっているが、広報活動等を通じて制度の浸透を図る必要があろう。

8 外国人留学生特別選抜入学試験

平成16年度入試から採用された入試区分であり、法律学の修得の前提となる日本語の能力をはかるため日本語の小論文を試験科目とする。

9 短大等からの編入学試験

本学には2年次編入制度があり、短大等での一定の学習後、本学で3年間法律学を学習してもらうことを念頭においている。また、募集人員若干名であるが、3年次編入制度では、本学では2年間の学習で卒業を目指す実力のある学生を受け入れている。

しかしながら、全国の短期大学、あるいは専門学校を検証すると、本学法学部の2年次あるいは3年次に編入するための条件を備えた学校は非常に少ない。というのも、編入生の場合には、他校での取得単位を、本学での卒業単位の一部に認定することで、単位の負担を減じ、本学での在籍年数を短くするという前提があるからであるが、そのような単位認定の対象になる単位を取得できる短期大学、あるいは専門学校が特に法学系には少ないという事情がある。そのため、近年、編入学生が非常に少ない傾向が続いており、また、回復の見込みも薄いところから、平成16年度募集においては、編入学定員を縮小する措置が採られている。

10 科目等履修生、聴講生に対する講座の開放

年間に1~2名の科目履修生という状況がここ数年の現状であるが、受講生は定年退職後に学問的関心を抱いて本学の門を叩くという傾向が感じられる。18才人口減少の現状において、そのような受講者の掘り起こしを図ることには可能性があるように思える。現に「市民公開講座」には70~80名の受講者もあり、経済的事情をクリアすれば、関心が無い訳ではないと思われることから、真剣に検討対象にする価値があるかもしれない。

その場合には、単位取得なり、卒業なりを目指すのか、実務上の利益を目的にするのか、または純粋に学問的興味関心を満足させればよいのかなど、多様な受講生像が想定される。寡聞にして、中高年者の取り込みに成功した大学の例を知らないが、パイロットケースとなりうる余地がある。

第7章 事務機構の整備と施設・設備

1 本学の管理運営機構

現在の本学の管理運営機構は次のとおりである。

学長 学長室  
  教授会  
    教学委員会
    学生委員会
    自己点検・評価並びに振興委員会
    図書委員会
    法学研究所運営委員会
  法学部 法律学科  
    附属図書館
    法学研究所
    事務局
    教学部
    学生部

平成16年4月からは、本学重要事項に関して、より機動的に企画立案・検討を行なうことを目的として、学長直属の学長室が組織されている。

改革委員会以降、学長室の今日までの活動はかなり精力的なものであり、この間、学内施設設備の充実や、入試制度の変更、カリキュラム改革、および平成17年度からの3コース制の導入など、今後の成果に期待される諸改革に奔走してきた。

平成15年からは、システム委員会が設置され、学内情報交換・伝達システムに関して、管理運営が行なわれている。当面、サーバー及びネットワーク管理業務を担当し、ホームページ更新を行なっているが、事実上の仕事量が非常に過大であり、また、個人情報や大学広報の窓口としての重要性に鑑みると、規定の整備と選任に関する配慮が求められよう。また、学内ネットワークが設置されていながら、学内各部所間での情報の共有に関しては、まだまだ改善の余地がある点と思われる。

2 施設・設備

本学施設・設備に関しては、校地面積約48,000㎡中、校舎総面積約7,100㎡に講義室(9室)、ゼミ室(18室)、視聴覚教室、LL教室、コンピュータ教室を有し、全室冷暖房空調が備えられており、ちなみに学生1人当たりの面積は、7.84㎡である。別に、運動場(23,779㎡)、体育館(約865㎡)および硬式テニスコート2面を有する。

このうち視聴覚教室は、ビデオ・LD・CDなどのAV機器やOHPの機能を備えており、「心理学」をはじめとする授業の他、市民公開講座や講演会の会場として多目的に利用されている。LL教室には40台の機器が設置されており、実践的な語学の授業や「言語圏文化論」の授業に使用されている(平成17年4月からは、30台のパソコンに置き換えられ、パソコンによるLL授業が行なわれる予定)。コンピュータ教室には、30台のパソコンが設置され、平成12年4月からはインターネット常時接続環境が整備され、「PC-Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」等の授業で活用されているほか、空き時間には学生に開放されている。  研究室関係では、(32.14㎡)が専任講師以上に1人1室配備されており、書架、机、ロッカー、ホワイトボード、ソファセット(またはゼミテーブル)が備えられ、演習科目を研究室で行う例も少なくない。

学生と教員の潤いの場としては、大学校舎中庭、正門前等に年輪を重ねた欅を中心とする緑地が設けられているほか、清和大学を始め8教育機関の設置母体、学校法人君津学園の建学の精神「真心教育」のシンボルとして、平成10年11月に竣工の真心の塔・報恩館があり、広さ延べ350.38㎡、鉄塔部分までは、高さ47メートルあり、夜にはライトアップされている。また、 校地内には平成12年8月竣工の学生ホール(真板幸男記念館)があり、広さ延べ654.93㎡で、地下1階は、クラブ室やシャワー室等、1階は多目的ルーム、 2階は学生のラウンジがあり、学生たちの憩いの場となっている。

学生用の施設としては、ゼミ室および食堂を開放しているほか、課外活動用のクラブ室(13室に18サークルが利用)、エレベータ前ホールにソファを設置したラウンジ(59.12㎡)が提供されている。学生の要望が多かった駐車場は大幅に拡充され(平成15.7.5竣工 6303.11㎡)、191台の駐車スペースを確保して、自動車通学希望者の用に供されている。

障害者に対する設備上の配慮としては、特に車椅子用に玄関スロープ、エレベータ・ボタン、およびトイレに車椅子用の設備がある。また、障害者用の机も必要に応じ、教室に備えることにしている。

平成16年2月には、新設の強化部である剣道部と柔道部の練習拠点として、真武殿が竣工された。延べ1411.68㎡、1階柔道場248畳、2階剣道場、それぞれシャワー室トレーニングルームを備えており、剣道部及び柔道部の練習場所であるほか、既に全県中学の剣道大会が催されている。

地域住民等への大学施設開放に関して、図書館利用については、平成9年度の第一回卒業生に対する便宜を考慮する際に、一部実現されている。その他の施設に関しては、地域住民や卒業生等からの要請に応じて、例えば語学検定試験会場としての利用に供するなど、その都度対応してきている。

第8章 図書館

大学における研究・教育の核心となるのは図書館の充実であることは改めて論ずるまでもない。校舎の建設は誰にも出来るとしても、充実した専門研究・学術書と有能な教授陣を揃えるのは容易なことではないと欧米の大学関係者は漏らしている。清和大学の場合もこの困難を乗り越えて、大学の本来の使命を果たさなければならないわけである。現状ではこの大目標に向かって努力し、論議を深めている図書館委員会の活動に対して、敬意を表したい。

今後の検討課題としては、次の3点が挙げられる。

  1. 大学図書館は、大学における学術研究・教育を支える重要な基盤であり、一次情報の収集、提供等による情報サービスを行う機関として役割を果たしている。特に人文・社会科学分野においては、研究における図書の比重は大きなものがあり、図書館の重要性が認識されているところである。近時、図書館の備えるべき資料の提供媒体は、従来の紙ベースのみならず、ビデオ、CD-ROM、DVD、さらにはインターネットによるオンデマンドにまで広がりつつある。従って、従来の紙ベースでの資料の購入という費目だけでは十分とは言えず、予算配分の費目に関する再検討が必要となろう。
  2. 生涯学習が叫ばれる中で、地域の文化的な中心として、大学がその教育研究機能の活用を通じて地域社会へ貢献することが期待されている。現在、時間を明示して、一般開放が行なわれているが、利用数はさほどではない。この点に関しては、一層の広報活動を行なってよいと思われる。
    今後いっそう高まってくると思われる社会的要請に応えるためには、開館時間の延長や日曜開館等、教育研究機能に支障を来さない範囲で生涯学習を支援するために円滑な受け入れのための要員の確保と、サービス機能の拡充につながる施設の整備を進める必要があるかもしれない。
  3. 図書館というと書籍や雑誌、または今日ではインターネットを通じての情報提供機能にだけ目が奪われがちであるが、文化的なセンターとしての機能に目を向けるならば、図書館主催の各種講演会や輪読会、読書案内等の企画がなされても良いのではないかと思われる。これは地域に公開するか否かは別の問題として、学生の読書離れ、読解力不足がしばしば指摘される今日において、学生の興味を引く企画によって、学内的にも教育効果が期待できるように思われる。

第9章 財政

大学の運営に当たっては、収支の適正化を図り健全財政を維持することが不可欠である。本学においてもこの観点から財政運営に努めてきた。発足当初においては、学生納付金等のほか、千葉県、木更津市、君津市、富津市及び袖ヶ浦市からの補助金や寄付金により支出を補ってきたが、平成9年の完成年度以降は、収入増に努め、経費を節約して収支の均衡を図っている。

第10章 地域社会への貢献

本学では、法律学の修得を目指す社会人を幅広く受け入れると同時に、地域社会と活発な交流を図り、学術研究成果を広く社会に還元するために、一般市民を対象とした各種の講座を開設している。

科目等履修生は、正規学生以外に履修を認めるもので、所定の試験に合格した場合には正規の単位として認められる制度である。

地元市役所からは、毎年委託生を受け入れており、熱心に複数年にわたって委託生として本学に通ってくる例が多い。

また、毎年、木更津市教育委員会の企画による「生涯学習市民公開講座」は、木更津市在住または在勤者に無料で公開されており、常時70~80名の参加者がある。これまで開催された公開講座の一覧については、次のホームページを参照されたい。
URL: https://www.seiwa-univ.ac.jp/local/publiclecture.html

それぞれ単年度限りの企画であったがPC教室を利用して、コンピュータ・リテラシーの指導を行なったIT講習会が次のように開催された。

木更津市IT講習:平成13年7月8月、全12コース、参加人数約300名。
木更津市IT講習スキルアップ編:平成14年2月、全3コース、参加人数約80名。
木更津市の委託により、いずれも参加費無料で行なわれたものであるが、参加者には非常に好評であって、アンケートによれば、また機会があれば参加したい、有料でも参加したいという意見も多く見られた。参加者による記念写真が、次のホームページにアップされている。

また別に、学外での活動としては、君津郡市広域市町村圏事務組合の主催する講座に本学専任教員より講師を派遣して、各市の職員への学習の機会提供に協力していることがあげられるほか、随時、地元の中学、高校の要請により、大学授業の体験教育に協力する態勢がある。

あとがき

大学によっては、毎年や隔年で自己点検・評価報告書が作成・公表されており、またそれらが大学の宣伝に一役買うような立派な装丁で、かつ、各専任教員の業績や、授業評価まで網羅したすばらしいものであることがある。それに比べると、この報告書がそれら他大学の報告書と比肩できる自信は全くないといってよい。

前回報告書作成・公表から5年が経過し、その間、大学内では学長交代、改革委員会の発足に伴う自己点検・評価委員会を含む委員会凍結などかなりの状況変更があった。この間の事情は、本報告書の第一章で触れてある。当委員会にとっては、委員会凍結の影響は大きかったといわざるを得ない。委員会の継続性が損なわれたほか、空白時期が生じたために決して恒常的な点検・評価活動であるとはいえない。

この報告書の作成に際しては、そのような事情で、5年間の途中経過に関しては必ずしも網羅的なものでなく、概略を述べるにとどめ、現状の素描と、問題点を極力指摘することに努めた。提案といえるほどのものでなく、いくつかの頼りないアイデアも記してあるが、ご批判の対象となればむしろ幸いである。

この報告書の作成に当たっては、多くの方々の忌憚のないご意見と、心温まるご協力を得たことに、衷心からの謝意を表し、また、おひとりおひとりのお名前を掲げることを控えさせて頂く事には、お詫び申し上げます。

皆様の誠意溢れるご協力と平素の担当部署におけるご努力とが、この報告書を通じて、今後の本学の発展につながることを祈念して。

平成17年(2005年)3月
清和大学自己点検・評価並びに振興委員会